更新日:2026年10月16日
「未経験可」のIT求人には、自社でシステムを開発する会社の求人もあれば、エンジニアを取引先に常駐させて働くSES(システムエンジニアリングサービス)の会社の求人もあります。どちらが悪いということではなく、どちらの働き方なのかを応募前に知り、研修や配属の決め方を確かめることが大事です。
SESで取引先に常駐する場合、法律上、取引先の社員から直接仕事の指示を受けることはできません。面接では「現場では誰から仕事の指示を受けるのか」「最初の現場が決まるまでの研修と給与はどうなるのか」を聞いてみましょう。
SES・派遣・自社開発の違い
| 自社開発 | SES(準委任契約など) | 派遣 | |
|---|---|---|---|
| 働く場所 | 自社 | 取引先(客先)が多い | 派遣先 |
| 仕事の指示を出す人 | 自社 | 自社(取引先は直接指示できない) | 派遣先 |
| 会社に必要な手続き | 特になし | 特になし | 厚生労働大臣の許可(労働者派遣法第5条) |
厚生労働省の疑義応答集では、準委任契約でも、実態として発注者(取引先)と受注者側の労働者との間に指揮命令関係があれば、契約の形式を問わず労働者派遣に当たるとしています。請負などの形をとりながら、発注者が受注者の労働者に直接具体的な指揮命令をして作業させることは「いわゆる偽装請負」で、労働者派遣法に違反します。
出典: 厚生労働省「「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)に関する疑義応答集(第3集)」Q1・Q8、労働者派遣法第2条・第5条(e-Gov法令検索)
同じ疑義応答集では、発注者が特定の人を指名して働かせたり、特定の人の就業を断ったりする場合も、適正な請負などとは認められないとしています(Q7)。
求人票で確かめたい3つのこと
1. 就業場所と「変更の範囲」
2024年4月から、求人票などで就業場所と業務の「変更の範囲」を示すことが必要になりました。「本社」とだけ書かれていて変更の範囲に「顧客先」などとある場合は、取引先で働く可能性があります。
出典: 厚生労働省「求職者の皆さまへ 企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」
2. 研修の期間と中身
「研修制度あり」だけでなく、期間・内容・研修中の給与が書かれているかを見ましょう。書かれていなければ、面接で聞く項目にします。
3. 給与の内訳
固定残業代が含まれている場合は、何時間分でいくらか、超えた分は追加で支払われるかを確認します。詳しくは「求人票の固定残業代は3点を確認」で解説しています。
面接で聞きたいこと
- 現場では、誰から仕事の指示を受けますか(SESの場合、自社の責任者が指示を出す体制になっているか)
- 最初の配属先は、いつ・どうやって決まりますか
- 入社後の研修は、何か月で、どんな内容ですか
- 配属先が決まるまでの期間(待機期間)の給与はどうなりますか
待機期間について、会社の都合で休ませる場合、会社は平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります(労働基準法第26条)。給与の扱いは会社によって違うので、入社前に確認しておきましょう。
出典: 労働基準法第26条(e-Gov法令検索)
エージェント経由で応募する場合は、担当者に聞いてもらうこともできます。ただし、どこまで詳しく把握しているかは会社や担当者によって違うので、大事な点は面接や内定時の書面でも確かめましょう。
公的なサイトで調べられること
| 調べたいこと | 使えるもの |
|---|---|
| 企業の採用状況や働き方の情報 | 厚生労働省「しょくばらぼ(職場情報総合サイト)」 |
| 新卒・既卒向けの募集での、研修の有無・離職者数・平均勤続年数など | 若者雇用促進法にもとづく職場情報。応募者が求めれば、企業は提供しなければならない |
| 派遣会社が許可を受けているか | 厚生労働省「人材サービス総合サイト」の「労働者派遣事業」 |
出典: 厚生労働省「職場情報の提供制度」、青少年の雇用の促進等に関する法律第13条(e-Gov法令検索)
※若者雇用促進法の職場情報は、新卒・既卒を対象にした募集が対象です。中途採用の求人には当てはまりません。
よくある質問
Q. SESの会社は避けるべきですか?
A. 一概には言えません。SESは、いろいろな現場で実務経験を積める入り口にもなります。大事なのは、研修や配属の決め方、現場での指示の体制、その先のキャリアを応募前に確かめることです。
Q. 面接で「誰から指示を受けるか」を聞いても大丈夫ですか?
A. 働き方の確認として自然な質問です。法律上、SESで取引先が直接指示を出すことはできないため、自社の責任者がどう関わるかを聞いておくと、入社後の働き方を具体的にイメージできます。
Q. 「研修あり」と書いてあれば安心ですか?
A. それだけでは分かりません。研修の期間・内容・研修中の給与、研修のあとの配属の流れまで確認しましょう。新卒・既卒向けの募集なら、若者雇用促進法にもとづいて研修の有無と内容の情報提供を求められます。
まとめ
- 「未経験可」の求人には、自社開発・SES・派遣など、いろいろな働き方がある
- SESで取引先に常駐する場合、取引先の社員から直接指示を受けると偽装請負となり、労働者派遣法に違反する
- 求人票では、就業場所と変更の範囲・研修の中身・給与の内訳を確かめる
- 面接では、現場での指示の体制・配属の決め方・研修・待機期間の給与を聞く
「未経験可」という言葉だけで判断せず、働き方の仕組みを知ったうえで応募先を選んでみてください。
出典:
- 厚生労働省「「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)に関する疑義応答集(第3集)」
- 厚生労働省「求職者の皆さまへ 企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」
- 厚生労働省「職場情報の提供制度」
- 労働者派遣法第2条・第5条、労働基準法第26条、青少年の雇用の促進等に関する法律第13条(e-Gov法令検索)
SESの会社は避けるべきですか?
一概には言えません。SESは、いろいろな現場で実務経験を積める入り口にもなります。大事なのは、研修や配属の決め方、現場での指示の体制、その先のキャリアを応募前に確かめることです。
面接で「誰から指示を受けるか」を聞いても大丈夫ですか?
働き方の確認として自然な質問です。法律上、SESで取引先が直接指示を出すことはできないため、自社の責任者がどう関わるかを聞いておくと、入社後の働き方を具体的にイメージできます。
「研修あり」と書いてあれば安心ですか?
それだけでは分かりません。研修の期間・内容・研修中の給与、研修のあとの配属の流れまで確認しましょう。新卒・既卒向けの募集なら、若者雇用促進法にもとづいて研修の有無と内容の情報提供を求められます。