更新日:2026年10月16日
求人票に「固定残業代」「みなし残業」とあったら、厚生労働省が示す記載例の3点、①固定残業代を除いた基本給 ②何時間分でいくらか ③その時間を超えた残業代は追加で払われるかがそろっているかを確認しましょう。
さらに、固定残業代が法律の割増率(25%)で計算した額に足りているかは、基本給と時間数があれば自分で目安を計算できます。
求人票で確認する3つのポイント
厚生労働省のリーフレットでは、固定残業代を採用する場合、求人票などに次のように書く例を示しています。
| 記載が必要な項目 | 記載例 |
|---|---|
| ① 基本給 | 基本給 ●●円(②の手当を除く額) |
| ② 固定残業代 | ■■手当(時間外労働の有無に関わらず、●時間分の時間外手当として▲▲円を支給) |
| ③ 超えた分の扱い | ×時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給 |
出典: 厚生労働省「求職者の皆さまへ 企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」(2024年4月1日施行 改正職業安定法施行規則のリーフレット)
「月給30万円(固定残業代含む)」のように、基本給と固定残業代が分かれていない書き方では、基本給がいくらか分かりません。①〜③のどれかが欠けていたら、面接や面談で確認しましょう。
同じリーフレットでは、求人広告のスペースが足りない場合などは一部を後で伝えることもできるが、原則として面接など最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示することになっている、と説明しています。聞くこと自体は失礼ではありません。
固定残業代が足りているかを計算する
固定残業代は、時間外労働の割増賃金をあらかじめ定額で払う仕組みです。そのため、法律の割増率で計算した額を下回っていないかがポイントになります。
労働基準法では、時間外労働には通常の賃金の25%以上を上乗せした割増賃金が必要です(第37条と、率を定める政令)。月60時間を超えた分は50%以上です。
計算の目安
- 基本給 ÷ 月の所定労働時間 = 1時間あたりの賃金
- 1時間あたりの賃金 × 1.25 = 残業1時間あたりの割増賃金
- 2の金額 × 固定残業の時間数 = 固定残業代として必要な額の目安
計算例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 求人票の月給 | 30万円(基本給24万円+固定残業手当6万円・40時間分) |
| 月の所定労働時間 | 160時間(1日8時間×20日と仮定) |
| 1時間あたりの賃金 | 24万円 ÷ 160時間 = 1,500円 |
| 残業1時間あたり | 1,500円 × 1.25 = 1,875円 |
| 40時間分の目安 | 1,875円 × 40時間 = 7万5,000円 |
この例では、固定残業手当6万円は目安の7万5,000円より少なくなります。この場合は、「40時間分の計算方法」を確認しましょう。
注意: 月の所定労働時間は会社ごとに違います。また、基本給以外の手当(資格手当など)も割増賃金の計算に入る場合があり、そのときは必要な額がもっと大きくなります。上の計算は「基本給だけで計算しても足りているか」を見る目安です。
「月45時間分」は、残業の原則の上限と同じ時間
労働基準法第36条では、36協定(時間外労働の労使協定)で延長できる時間の原則の上限を、月45時間・年360時間と定めています。
固定残業が「月45時間分」の求人は、この上限と同じ時間です。法律違反ではありませんが、固定残業の時間数は、実際の残業時間とは別です。求人票の「時間外労働」の欄(厚労省の記載例では「あり(月平均20時間)」)や面接で、実際の平均の残業時間も確認しましょう。
出典: 労働基準法第36条・第37条、労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(e-Gov法令検索)
2024年4月からは「変更の範囲」も求人票に書かれる
2024年4月1日から、求人票などで明示する労働条件に、次の項目が加わりました(職業安定法施行規則の改正)。
- 従事すべき業務の変更の範囲(例:入社直後は法人営業、変更の範囲は製造業務を除く当社業務全般)
- 就業場所の変更の範囲(例:入社直後は大阪支社、変更の範囲は本社および全国の支社・営業所)
- 有期契約を更新する場合の基準(更新回数・通算期間の上限を含む)
ITエンジニアの場合、たとえば業務の変更の範囲に「客先での業務を含む」と書かれていれば、将来は客先常駐になる可能性があると読み取れます。年収とあわせて確認しておきましょう。
出典: 厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
面接・面談で聞くときの質問例
- 「固定残業代を除いた基本給はいくらですか?」
- 「固定残業代は何時間分・いくらですか?」
- 「その時間を超えた残業代は、追加で支払われますか?」
- 「実際の平均の残業時間は、月どのくらいですか?」
自分で直接聞きにくい場合は、転職エージェントに確認を頼む方法もあります(「転職エージェントと転職サイトの違い」)。内定のときは、会社から渡される労働条件通知書でも、同じ3点が書かれているかを確認しましょう。
固定残業代のある求人は避けるべき?
固定残業代は、法律で禁止されている制度ではありません。残業が少ない月でも定額が払われるので、働き方によってはメリットにもなります。
大事なのは、①〜③がきちんと書かれていて、金額が割増率で計算した額に足りていることです。年収の額面だけで決めてしまう失敗は「IT転職で後悔しやすい3つのパターン」でも解説しています。
よくある質問
Q. 固定残業代の内訳を聞くと、印象が悪くなりませんか?
A. 厚生労働省のリーフレットでは、固定残業代は基本給・時間数と金額・超えた分の支払いを書く例が示されています。書かれていないことを確認するのは、条件面の確認として自然な質問です。
Q. 固定残業の時間を超えて働いた場合、残業代は追加で支払われますか?
A. 労働基準法第37条により、時間外労働には割増賃金が必要です。固定残業代の時間を超えた分は、追加で支払われる必要があります。求人票の記載例でも「×時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給」と書く形になっています。
Q. 固定残業代の金額が少なすぎないか、どう判断すればよいですか?
A. 「基本給 ÷ 月の所定労働時間 × 1.25 × 固定残業の時間数」で目安を計算できます。固定残業代がこれより少ない場合は、計算方法を確認しましょう。月の所定労働時間は会社ごとに違うため、あくまで目安です。
まとめ
- 固定残業代は「①基本給 ②何時間分・いくら ③超えた分は追加で支給」の3点がそろっているかを確認する(厚労省の記載例)
- 「基本給 ÷ 月の所定労働時間 × 1.25 × 時間数」で、金額が足りているかの目安を計算できる
- 月45時間は36協定の原則の上限と同じ。実際の平均残業時間も別に確認する
- 2024年4月から、業務と就業場所の「変更の範囲」も求人票に書かれる
- 内定時は労働条件通知書でも同じ点を確認する
求人票を見るときは、年収の数字だけでなく、その内訳まで確認する習慣をつけましょう。
出典:
- 厚生労働省「求職者の皆さまへ 企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」
- 厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
- 労働基準法第36条・第37条、割増賃金の率の最低限度を定める政令(e-Gov法令検索)
固定残業代の内訳を聞くと、印象が悪くなりませんか?
厚生労働省のリーフレットでは、固定残業代は基本給・時間数と金額・超えた分の支払いを書く例が示されています。書かれていないことを確認するのは、条件面の確認として自然な質問です。
固定残業の時間を超えて働いた場合、残業代は追加で支払われますか?
労働基準法第37条により、時間外労働には割増賃金が必要です。固定残業代の時間を超えた分は、追加で支払われる必要があります。求人票の記載例でも「×時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給」と書く形になっています。
固定残業代の金額が少なすぎないか、どう判断すればよいですか?
「基本給 ÷ 月の所定労働時間 × 1.25 × 固定残業の時間数」で目安を計算できます。固定残業代がこれより少ない場合は、計算方法を確認しましょう。月の所定労働時間は会社ごとに違うため、あくまで目安です。